世界はMP3によって作られた。それを作ったのが誰だったか,思い出そう。わたしたちは気付いている。次を示せるのは,アップルでもないし,マイクロソフトでもない。忘れたころに,彼らは帰ってくるかもしれない。
quote:オリジナルのウインアンプを作っていたヌルソフトの最後のひとりがAOL社から退社し,もうウインアンプはアップデートされない。1月にウインアンプの創造主でもあったジャスティン・フランクル氏が辞職してから,ウインアンプは生命維持装置をかけられた状態にあった。ヌルソフトとAOLの結婚は常に不協和音の源であり,フランクル氏たちがグヌーテラを開発したとき,ワステを開発したときと衝突は続いた。AOLはリストラ計画のさなかであり,デジタル・オーディオ革命を助け,月に6000万人ものユーザーを獲得したウインアンプの支援からも遠ざかっている。
この記事からでは憶測しかできないが,これはウインアンプの終焉を意味するのだろう。わたしはマックユーザーなのでウインアンプを使うことは少なかったが(それでもバーチャルPC上で,ウインアンプとナップスターを立ち上げていたのをおぼえている),確かにMP3,そしてパソコンで音楽を聴くこと,はウインアンプによって広まった。それまでは,当時数百メガバイトもあれば十分過ぎるほどのハードディスクに,1曲何十メガもの音楽ファイルをたくさん置いておく人なんて,音楽を仕事にしている人たちだけだった。だがウインアンプによって,CDの山をすべてハードディスクに詰め込み,リオなどの携帯プレイヤーに転送し(過去記事),そしてファイル共有で自由にやり取りし,といういまと同じ状態が普通になっていった。マックでもウインアンプと同じ機能をいかに持ち込むかと,マックアップやオーディオンなどの開発が進んだ(過去記事)。
その,ウインアンプがなくなるとなると,なにか大きなときの流れを感じる。カザーの開発者たちが,カザーから離れてスカイプというセンセーションを巻き起こしているように(過去記事),なににも束縛されないカタチで,ジャスティン・フランクル氏たちが次の時代を作ってくれることを,願ってやまない。彼らなら,ネットワークの意味を,きちんと知っている。だから,大丈夫。ウインアンプの次を,待とう。
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